あたらすファミリー10周年記念インタビュー
あたらすファミリーは、2024年5月1日に10周年を迎えました。10年の足取りと、これからのあたらすファミリーについて、代表の下田がインタビュー形式でお伝えいたします。
10年間変わらず続けてきた、「家族支援」
– 10周年を迎え、今どのような気持ちですか。
本当に、あっという間でした。
立ち上げた時は子どもたちもまだ幼くて、上の子が小学校1年生、下の子が2歳でした。いわゆる「小1の壁」であったり、下の子もイヤイヤ期に入って目が離せない…という状況での起業でした。
10年経って、子どもたちも大きく成長していて、10年という年月の重みを実感しています。「10年続けてこられたこと」は、1つ自信にはなったと思います。
開業当時は、あたらすファミリーが手がける自費のサービスは、「異様なもの」として見られることがあったかもしれません。お客さんのニーズを中心に、必要だと思ったものを、常にゼロイチで、「無いから作ろう!」と、サービスを作ってきました。
介護保険のモデルで収益化していく事業所がほとんどの中、私自身が必要があると思ったことを行ってきました。
今回事務所を移転したのですが、過去の資料などを整理をしていて、起業当時のチラシが出てきました。当時から「必要なことを、必要なことだけ」「家族を支える」と、ずっと同じ想いでやってきた、ブレずにやってきたことが改めてわかりました。
– 初心を貫いて「家族支援」を続けられてきたんですね。この10年の間には、どのような変化がありましたか?
この10年、とにかく続けることを目標にやってきました。
イベント的のような形ではなく、「あそこに行けば、あの人がいる」ということが大事だと思って、続けたいと、思ってやってきました。
その結果、最初は社名を聞き取っていただけないことが多かったのですが、最近では「あたらすさん」と呼んでいただけることも多く、嬉しい変化と実感しています。
それを裏付けるように、豊中市さんから事業を受託したり、市の経営戦略会議に参加させてもらったり、地域の雑誌の取材を受けたりと、色々なことを担わせていただき、多くの方々に認知してもらいながら、今に至っているなと思います。
また、この10年の中ではコロナ渦を経験し、創業当時に始めた多世代交流型食堂『あたDECO食堂』は現在の地域交流マルシェ『宮古島panipaniマルシェ』に変化しながら続けてきました。
私の実家がある宮古島では、母世代の雇用や生きがい作りと同時にゆるく働き続けることのできる『あんなゴハン』を立ち上げました。宮古島に訪れる方向けに地元の家庭料理を宿泊先に出張料理に伺うサービスです。
介護、子育てなどご家族のケアを担う方の「ただ話したい」から「解決したい悩み」まで、「身近な専門家」としてお話を聞かせていただく相談サービス『ケアラス』も立ち上げました。
「かけ込み寺」のような、最後の砦でありたい
– 10年企業を続けることは、なかなかできることではないと思います。下田さんの行動の源泉はどこにあるのでしょうか。
あたらすファミリーに問い合わせしてくださる方というのは、大袈裟かもしれませんが、意味があって、訪れてくださっていると思うんですね。どこに頼んでも無理で、うちに辿り着いていただいている。
相談先としては、うちが最後にならないといけない、と思ってやってきました。「かけ込み寺」のように、最後の場所にならないといけないと思っているんです。
相談の結果、うちのサービスでなくてもいいけれど、その方の問題が解決できれば、それでいいとよくスタッフに話しています。
ビジネス感覚としては、ズレているのでは?と自分でも思ったりすることもあるのですが、ただ、結果的に「あそこに行ったら解決できる」という声があれば、あたらすファミリーのサービスが必要な方が辿り着いてくれると思っています。
そうした想いに突き動かされるように、サービスを作ってきました。
– つくってきたサービスの多くが、介護保険制度ではなく、「自費」のサービスですね。
私自身がケアマネジャーをしてきたこと、また子育てしている経験も大きいです。制度の中にいて何もできない、解決できるサービスが何もないということを経験してきました。
制度にマッチしない困りごとというのは、当事者でないとわかりません。
「送迎できない」「仕事があっても早退できない」「体調崩したけど、子どもをみてくれる人がいない」
そうしたものを埋められるものって何なんだろう…と。無理をして、ママたちがやってしまうと「イライラ」して、子どもに当たってしまうこともあります。
その時に、単純に「人の手が足りないんだな」と思ったんです。核家族が多くなっていて、子どもを一人育てるだけでも大変です。手が増えたら助けられるのに。ちょっと見守りをしてくれたら買い物に行けるのにって。
普段は大丈夫なんだけど、困った時に「ちょっとだけ、助けてほしい」ということに応えられるサービスがあまりなくって、ここを解決しないと、子どもたちの世代はもっと困るだろうなぁと思いました。
メニューも具体的にあるわけではなく、オーダーメイドで一人一人違うものになります。あたらすに辿り着いてくれたことにはきっと意味があると思うんです。
私たちのサービスを利用しなくても、どこかに繋げられるように、と思っています。
地域に必要なものを見つめて。縁を通じて、繋いでいく
– この先の10年、あたらすファミリーはどうなっていくでしょうか。
これまでの10年でいただいた縁をさらに繋げながら、あたらすファミリーの形をどうしていくか考えていく10年になるかなと思います。
常に、お客様とともに過ごさないとわからない現場のニーズをキャッチして、サービス化されていないことを、サポート、解決していきたいです。
例えば、起業当時は数が少なかった「一時保育」ですが、今では制度化されていったり、事業所が増えていったので、あたらすファミリーがやることでは無いだろうと思って、閉じました。
ケアプランセンターも同様です。介護保険事業であるケアプランセンターを閉じたのは大きな決断ではありましたが、向こう10年の話に移すと、今後は、今制度がないところやサポートが必要なことを、想像の中だけだとわからないことを、地域でともに暮らしながらサポートしていけたらと思います。
– 最後に、これからあたらすファミリーと出会う方々にメッセージをお願いします。
あたらすファミリーとしては、家族の一員となってサポートしていきたいと思っています。
どこで話していいかわからない、こんなこと頼めるのかな、そんなことがあれば駆け込み寺としてきてもらいたいです。
これからの社会では、家族だけでは抱えていくにはしんどい介護や、子育ての問題がどんどん出てくると思います。
あたらすファミリーに、まずは繋がっておいてくださいと、お伝えしたいです。あたらすファミリーを知って、繋がっていてもらい、困った時にまず相談できる場所になりたい、と思っています。実際にサービスを利用しなくても、聞ける場所を持っていることで、心の負担が少しでも楽になって頂ければ幸いです。
「こんなこと相談していいのかな」そう思う時でも、気軽にお問い合わせいただけたらと思います。
<撮影協力> 古民家ブックカフェ「つぐの庭」
<インタビュアー> フェルマータ合同会社 寺戸 慎也さん